明治44年、江別駅前の市街地に山田印章印刷は産声をあげました。創業者は台湾で印鑑手彫りの修業を積んだ山田火三郎。それから百余年。現在、五代目となる印章彫刻技能士・山田  誠が、伝統の篆刻台を使って手彫りの印鑑を刻んでいます。0.01~0.1ミリという細く鋭い刃先が生み出す妙技。手作業による彫刻は同じ印影になることがなく、持ち主のための一本として仕上がります。この道40年を超える技を頼りに、道内各地からの依頼も絶えません。自分の分身のような大切な印鑑。あなたの唯一の印しとして、ぜひ貴重な手彫りの逸品をご用命ください。

五千年もの昔から使われてきた、印鑑。発祥はメソポタミアの頃と言われています。覇権を握る有力者が、石や宝石に彫った印を自らの証として用いていたそうです。時を経て中国と日本だけが、その技術と文化を継承し、今もなお広く一般に使う国として残っています。この手彫りの印鑑のすばらしさは、世界に一つしかないということ。一人ひとりの指紋が異なるように、唯一無二のものです。いくつも同じものができる機械彫りとは違います。しかも日本において手彫りの技能は国家資格。国の技能検定に合格した者だけが、印章彫刻技能士として認められているのです。

歴史ある伝統技術を支えるものに、職人が使う道具があります。手彫りの印鑑に欠かせないものが、印刀と呼ばれる彫刻刀の一種。力強く鍛えられ、鋭利に研ぎすまされた長い刃を、両側から添え木をあて、「巻竹」と呼ばれる細くしなやかな竹で締め上げたものです。創業百年を超える山田印章印刷では、先代から引き継いだ道具を、自ら分解して刃を研ぎ、添え木をあて、水に浸して柔軟になった竹を巻き直して乾燥させ、長く使えるよう手入れをします。たった一つの技術作品を生み出すためには、それを支えるための更なる伝統技術があるのです。